中性脂肪の役割
中性脂肪がないとどうなってしまうのでしょう!?
本当に必要なのでしょうか!?
中性脂肪の働き
中性脂肪が過剰な状態を「肥満」といいますが、では中性脂肪とはどんな働きをするのでしょうか。
中性脂肪は、人間の体のなかにいちばん多く存在する脂質で、
運動や日常生活などで、体を動かすときのおもなエネルギー源として使われています。
中性脂肪は肝臓で合成されるほか、食物を通して体外から取り入れられます。
たとえば穀物や砂糖、アルコール、果物などの糖質が小腸で吸収されると
中性脂肪になって体内に蓄積されます。
たとえば糖質やタンバク質は1グラムでおよそ4キロカロリーのエネルギーになりますが、
中性脂肪では同じ1グラムで約9キロカロリーものエネルギーに変わります。
また、中性脂肪は善玉コレステロール(HDL)を生成する貴重な役割も担っています。
善玉コレステロールの増加は、悪玉コレステロール(LDL)の減少にもつながるため、
体内に中性脂肪を一定量蓄えておくことは必要なのです。
ただし、気を付けなくてはならないのか、必要以上にとり過ぎてしまうこと。
中性脂肪か増えて肥満の状態になると、悪玉コレステロールばかりが増え始めてしまいます。
悪玉コレステロールが増加すると善玉コレステロールの数は減ってしまうのです。
肥満は動脈硬化をまねく
悪玉コレステロールや中性脂肪は、増えると動脈の壁に沈着します。
そうなると血管は傷つきやすくなってもろくなり、ついには動脈硬化をもたらします。
「動脈硬化」は、心臓病や脳卒中、腎臓病、痛風、糖尿病、高血圧症などの
恐ろしい生活習慣病の引き金になります。
現在、日本人の死亡率の1位はガンですが、
2位、3位は順に脳卒中(脳血管疾患)と心臓病(心疾患)です。
脳卒中と心臓病ともに動脈硬化が原因で起きる病気ですから、
この2つを合わせると死亡率の第1位は動脈硬化といってもいいでしょう。
とくにこの病気は、動脈の壁が硬くなって弾力性がなくなり、血流が悪くなるのが特徴。
また全身どこの動脈にも起こり得る、やっかいな病といえます。
戦前の日本では、米中心の食生活で、漬けもの類などを多く食べていたため、
高血圧になる率が圧倒的でした。
ところか戦後、多くの人の食生活は大きく変化し、アメリカの食文化か急速に導入され、
肉類や清涼飲料水を多くとったり、
ハンバーガーなどのファストフードを日常的に食べるようになったのです。
その結果、動物性タンパク質や脂肪の摂取量が増えて血管は丈夫になり、
高血圧による脳出血などは減少するようになりましたが、
こんどは心筋梗塞や動脈硬化などで倒れるケースが目立ち始めました。
食習慣の欧米化にともなって、今や国民1人当たりの脂肪摂取量は1970年ころに比べると倍増。
総カロリーに占める割合も2倍以上にも達するようになっています。
さらに最近では、30歳以下の若年層に大動脈や冠動脈に動脈硬化の兆候が見られ、
しかも年代ごとに増加傾向にあるという報告もされています。
若いからといって、不摂生やかたよった食習慣を続けていると、
生活習慣病の間接的な要因を進んで作るようなものです。
脂肪のとり過ぎから起こる肥満を早いうちに予防するためにも、
ふだんから生活習慣には十分に気を配るようにしましよう。