水晶体の構造
水晶体は虹彩の後ろ、硝子体の前にある、直径約1cm、厚さ約4mmの凸レンズです。
形は碁石に似ていて、前の方が後ろに比べやや偏平になっています。
血管も神経もない透明な組織です。
水晶体のもっとも大切な役割はピント調節ですが、それをコントロールしているのが毛様体です。
水晶体はチン氏体という糸のような組織で吊り上げられていて、
そのチン氏体は毛様体から発しています。
遠近を見るときの動き
近くを見ようとする時は、毛様体は緊張して水晶体のほうへ突き出ます。するとチン氏体はゆるみ、水晶体が厚く(丸く)なるのです。(チン氏体がゆるむことで引っ張られていた水晶体が本来の厚みに戻るのです。)
厚いほうが屈折率は大きいので、近くのものにピントが合います。
逆に遠くを見るときは、毛様体は弛緩して目の外側のほうへ引っ込みます。するとチン氏体も引っ張られ、水晶体は薄くなり、遠くがよく見えるようになるのです。
水晶体の組織
水晶体はたんぱく質33%、水分66%、ミネラル1%からできていて、
人間の体の中ではもっともたんぱく質の多い、非常に特殊な組織です。
水晶体は閉鎖された空間で、血管も神経も通っていません。
内部の細胞はもちろん生きていますが、血管がないので、
普通の細胞のように血液から栄養をもらうわけにはいきません。
水晶体に栄養を与えているのは、毛様体でつくられる房水という栄養水です。
房水は角膜と水晶体の間の前房に常に一定吸蓄えられ、
古くなった房水は、角膜と虹彩の間の隅角からシュレム管を通って外に出されます。
房水の排出がうまくいかなくなり、普段よりもたくさんの房水が口の中にたまると、
眼圧が高くなり緑内障になります。
水晶体は房水から栄養補給を受けて、その透明性を何年にもわたって保っているのです。