先天性白内障の原因と症状

生まれながらに水晶体に濁りを持っていて、
新生児、乳幼児、学吸期までに発症する白内障をいいます。

 

先天性白内障の原因

原因は遺伝によるものと、母親が妊娠中にかかった風疹によるものとが知られています。
後者では、妊娠3ヵ月までに感染した場合は
全白内障(水晶体全体が白く濁る)になるといわれていますが、
風疹ワクチンの普及で非常に少なくなりました。

 

 

先天性白内障の症状・治療

水晶体のごく軽い濁りは誰でも持って生まれてきます。
これは線維細胞の発育不良による濁りで、
老人性白内障のように新陳代謝がうまくいかなくなって起こる濁りとは違います。
先天性白内障と診断されるような白内障でも、進行するものはまれです。

 

ただ、中には急激に濁りがひどくなる場合もあり、早急に手術しなければなりません。
先天性白内障で全白内障の場合は、生後なるべく早い時期、
できれば2〜3週間以内、遅くとも2ヵ月以内には手術しなければなりません。
不完全白内障の場合は、様子を見るのが普通です
先天性白内障の手術で問題になるのは、手術そのものではなく、
術後の視力の矯正なのです。

 

 

視力の矯正

目は光をキャッチするだけで、実際に見るのは脳。
人間の視力は8歳ぐらいで完成するといわれていますが、
乳幼児は目と脳の間に、まだ視覚情報を解読するシステムができ上がっていません。
目の機能には何も異常がないのに、
目と脳の間の視覚路がうまく形成されないために視力が弱い状態を弱視といいます。
たとえば赤ちゃんに1週間眼帯をすると、その目は弱視になってしまい、
後で視力を矯正しようとしても、視力はなかなか出ません。
普通、私たちは自然に見る訓練を行って、視力を獲得します。
ところが視力の完成以前に、見ることをある程度の期間中断すると、
脳の中の視力関係の細胞の機能が低下し、その後の視力矯正が困難です。
8歳を過ぎて弱視が発見された場合、視力の回復は不可能です。

 

日本では乳幼児に眼内レンズを挿入することに対して積極的ではありませんが
最近見直されつつあります。
先天性白内障手術後の視力矯正はメガネかコンタクトレンズで行うのが一般的です。
メガネは片目だけの場合は、左右で見える像の大きさが違いすぎるので、使えません。
コンタクトレンズは、子どもはいやがって管理が難しく、弱視になる確率が高いのです。