白内障の眼内レンズ
白内障手術ではこのレンズの役割を果たしている水晶体を取り去ることになり、
そのままでは強度の遠視、ピンボケ状態になります。
矯正しなければ、ものは見えません。
方法として考えられるのはメガネ、コンタクトレンズ、眼内レンズの3つでしょう。
メガネ
まずメガネはどうでしょう。目に直接レンズが触れるわけではないので安全です。
手軽に度数を変えることもできます。
しかし、相当分厚いレンズが必要です。
メガネの最大の問題は、片目だけ手術した人には使えないことです。
メガネのレンズを通すと、ものが30%ほど大きく見え、左右のバランスがとれないからです。
そのためメガネしか矯正手段がなかった時代には、白内障手術は両目に行いました。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズはどうでしょう。
度数の調節はメガネ同様手軽にできます。
メガネと違うのは、ものが大きく見える割合が10%程度に抑えられることです。
これなら片目だけにも使えます。
ただ、白内障が高齢者の病気であることを考えると、コンタクトレンズの出し入れは大変です。
手がふるえたりして、自分でできる人は少ないでしょう。
ソフトコンタクトレンズの連続装用のものでも、1カ月に1度は出さなければなりません。
角膜に傷をつけるなど、目に接触しているための欠点も気になります。
眼内レンズ
現在の眼内レンズはメガネやコンタクトレンズの欠点をほとんど克服しています。
左右でものの見え方に違いはなく、正常な目と同じように見えます。
出し入れも不要です。
しかし眼内レンズにも問題はあります。
ひとつは異物を体内に入れるということです。
硝子体への落下や脱臼などのトラブル、あるいは炎症などの合併症を引き起こすことがあります。取り替えるには手術が必要です。
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズを入れるとにごりがなくなり非常に明るくなり見やすくなりますが、
厚みが一定のためピントの調節ができないことです。
眼内レンズは本人の希望に合わせて焦点が設定されています。
たとえば眼内レンズを近距離に最適な度数にした場合は、遠くを見るときにはメガネが必要です。
逆に遠くがよく見えるような度数の眼内レンズを入れた場合は、近くが見えにくくなります。
多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズは、遠距離、中間距離、近距離など複数に焦点が合うようにしたレンズです。
近くのメモや、遠くの値札にも焦点が合うようになります。
ただ水晶体とは違うので、物を見る位置によってはめがねが必要となることもあります。
また、細かい文字を読んだり、長時間読書をする時なども、
めがねをかけた方が楽な場合もあります。
それでも、単焦点眼内レンズを入れたときのように、見たい所やものの位置に合わせて、
複数のめがねをかけ替えたりすることから解放されます。
乱視矯正用眼内レンズ
乱視が強い方のためにの乱視を矯正できるレンズ。
乱視を矯正できる値が数種類の屈折値に限られていますので、
完全に乱視をとることはできないことがあります。